女性の冷え性の原因と症状
冷え性とは
冷え性とは、体の末端部(手足や鼻など)が冷えやすく、体温調節がうまくできない状態のことです。
冷え性には、原因が明らかなものと、原因が不明なものがあります。
原因が明らかなものは、低体温症や甲状腺機能低下症などの病気によって引き起こされるもので、これを「病的冷え性」と呼びます。
原因が不明なものは、生活習慣やストレス、ホルモンバランスなどの影響で起こるもので、これを「機能性冷え性」と呼びます。
冷え性は女性に多く見られる現象で、特に生理中や更年期には悪化する傾向です。
症状としては、手足の冷えやしびれ、肩こりや頭痛、便秘や下痢、生理不順や不妊など多岐にわたります。
冷え性の原因
冷え性には、体質的なものや生活習慣の影響など、さまざまな要因があります。
例えば、女性ホルモンのバランスが乱れると、血管の収縮や拡張に影響を与えて冷え性を引き起こすとされています。
また、運動不足やストレス、睡眠不足なども、血流を悪化させて冷え性の原因となるので、生活習慣を見直すようにしましょう。
さらに、食事の偏りやカフェインの摂り過ぎなども、体温調節に関わる自律神経の働きを低下させて冷え性の原因になることも。
冷え性は、単なる不快感だけでなく、免疫力の低下や生理不順、不妊などの健康問題を引き起こすリスクもあります。
そのため、冷え性の原因を正しく理解し、適切な対策を行うことが重要です。
冷え性の種類
冷え性には症状や冷えを感じる部位によって大きく4種類に分類されます。
それぞれのタイプには、特徴的な症状や対策があります。冷え性のタイプを知ることで、自分に合った温め方や予防法を見つけることができます。
末端冷え性
とにかく手足が冷える末端冷え性タイプ。中には季節問わず、手足が冷たい方もいます。
下半身冷えタイプ
足・お尻に冷えを感じやすい下半身冷えタイプ。顔や手などの上半身は冷えを感じず、むしろ熱がこもっているような感覚を持つ方が多いのも特徴です。
内臓冷えタイプ
隠れ冷え性ともいわれ、冷えを自覚しにくいタイプです。冷えがお腹の不調や体のだるさを引き起こすこともあります。
全身冷えタイプ
夏でも冷えを感じるタイプです。体温が低いため、冷えていると自覚があまりないことも。
冷え性の改善方法
冷え性を改善するには、まず原因を特定することが重要です。
冷え性の原因は、血行不良、自律神経の乱れ、ホルモンバランスの崩れ、栄養不足など様々です。それぞれの原因に応じて、適切な対策を行う必要があります。
一般的な冷え性の改善方法としては、以下のようなものが挙げられます。
– 温かい飲み物や食べ物を摂る
– 適度な運動をする
– 暖かい服装や靴下を着用する
– シャワーではなく湯船につかる
– マッサージやストレッチで血流を促す
– カイロや湯たんぽを使う
– サプリメントや漢方薬を利用する
これらの方法は、体温を上げたり、血液の循環を良くしたりする効果があります。
しかし、これらの方法だけでは根本的な解決にはなりません。
冷え性の原因が何であるかを把握し、医師や専門家のアドバイスに従って治療を受けることが最善の方法です。
冷え性は、放っておくと様々な健康障害につながる可能性があります。例えば、生理不順や不妊、冷たい手足や肩こり、免疫力の低下や感染症のリスクの増加などです。
冷え性は単なる不快感ではなく、健康に深刻な影響を与える可能性がある症状です。自分の体を大切にし、冷え性を改善するために積極的に行動しましょう。
冷え性を防ぐ生活習慣
冷え性はさまざまな角度から生活を見直すことで予防・改善につながります。
冷え性を防ぐ食事
冷え性の原因はさまざまですが、食生活が大きく関係しています。冷え性を防ぐには、以下のような食事のポイントを守ることが重要です。
朝食をしっかりとる
朝食は一日のエネルギー源となります。朝食を抜くと、代謝が低下し、体温が下がりやすくなります。朝食には、炭水化物、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素をバランスよく摂ることがおすすめです。
暖かい飲み物やスープを摂る
暖かい飲み物やスープは、体内の水分を補給し、血液の流れを良くします。また、体温を上げる効果もあります。冷たい飲み物やアイスクリームは、逆に体温を下げるので控えましょう。
血液をサラサラにする食材を摂る
血液がドロドロになると、血管が詰まりやすくなり、冷え性の原因になります。
血液をサラサラにする食材には、オメガ3脂肪酸やビタミンEが含まれています。オメガ3脂肪酸は、青魚やナッツなどに多く含まれています。ビタミンEは、植物油やアボカドなどに多く含まれています。
鉄分や亜鉛などのミネラルを摂る
鉄分や亜鉛などのミネラルは、血液の生成や免疫力の向上に必要です。鉄分不足は貧血の原因になります。
貧血は、体温が下がりやすくなるだけでなく、疲労感や倦怠感などの症状も引き起こします。
鉄分は、レバーや赤身肉、ほうれん草などに多く含まれています。亜鉛は、牡蠣や豆類、チーズなどに多く含まれています。
辛いものや香辛料を適度に摂る
辛いものや香辛料は、発汗作用や血行促進作用があります。
しかし、摂りすぎると胃腸の負担になったり、水分不足になったりするので注意が必要です。適度に摂ることで、体温調節や新陳代謝を高めることができます。
冷え性を防ぐための運動習慣
運動は、血行を良くし、体温を上げる効果があります。血行が良くなると、体の末端まで血液が届きやすくなり、冷え性の改善につながります。
体温が上がると、基礎代謝が高まり、体内の熱産生が促されます。これも冷え性の予防に有効です。
運動の種類は、有酸素運動と筋力トレーニングの両方を行うのがおすすめです。
有酸素運動は、心肺機能を高め、全身の血流を改善します。筋力トレーニングは、筋肉量を増やし、筋肉の熱産生能力を高めます。筋肉は体温調節に重要な役割を果たします。
有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせることで、冷え性の予防に効果的な運動習慣を作ることができます。
運動の頻度は、週に3回以上を目安にしましょう。運動は継続することが大切です。
週に1回や2回では、冷え性の予防に十分な効果が得られません。
週に3回以上、できれば毎日運動することで、血行や体温の改善を持続させることができます。
運動の強度は、自分の体力に合わせて調整しましょう。
運動は無理をしないことが重要です。無理をすると、逆にストレスや疲労がたまり、冷え性を悪化させる可能性があります。
運動中に息切れや動悸が強くならない程度の強度で行いましょう。また、運動後には十分な休息と水分補給を忘れずに行いましょう。
冷え性対策になる服装とは
女性の衣類の多くは保温性が低く、薄着が多いため冷えやすいので、以下のポイントに注意してください。
素材は、保温性や吸湿性に優れたものを選びましょう。例えば、ウールやカシミア、シルクなどの動物性繊維や、綿や麻などの植物性繊維がおすすめです。合成繊維は、汗をかいても乾きにくく、冷えやすいので避けましょう。
重ね着は、空気を含むことで保温効果が高まります。ただし、厚着しすぎると逆に血行が悪くなるので注意してください。また、重ね着する際は、下から上に向かって素材を変えると良いです。例えば、下着はシルクや綿、上着はウールやカシミアなどです。
首や手首、足首などの末端部分は、特に冷えやすいのでしっかりと暖めましょう。マフラーや手袋、靴下などを活用してください。また、帽子やイヤーマフも効果的です。
医療機関の受診
冷え性を引き起こす基礎疾患もあるため、まず内科で原因を調べてもらうことが重要です。
冷えの原因となる病気が隠れている場合、その病気の治療も行います。
原因となる疾患がない場合、西洋医学での治療が困難です。末梢血管を拡張させたり、血流を改善させる作用の薬もありますが有効といえません。
そのため、東洋医学の漢方薬が使用されます。
冷え性外来がある病院も
冷え性がなかなか改善しない場合、冷え性外来を行う病院があります。
病院によっては予約がいっぱいで取りづらいところも。治療内容を確認したうえで余裕を持って予約するようにしてください。
参考:冷え症を専門とする医師|ドクターズガイド|時事メディカル|時事通信の医療ニュースサイト
冷え性の治療について
冷え性は漢方薬が得意とする分野です。冷え性といっても原因は様々なので、冷える部位や体質、症状によって漢方薬を使い分けていきます。
人参養栄湯(にんじんようえいとう)
消化吸収機能を向上させる生薬、滋養強壮作用のある生薬、血行をよくする生薬が含まれています。
新陳代謝が悪くなり冷えを感じる方に適しているとされています。
八味地黄丸(はちみじおうがん)
強壮滋養作用のある生薬、血行をよくする生薬、体を温める生薬が含まれた漢方薬です。
下半身の冷えや腰痛、頻尿のある方に適しているとされています。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
一般的に女性の悩みといわれる症状(生理痛、月経不順、月経異常など)に効果のある生薬が含まれた漢方薬です。
漢方の考えでは「気」と「血(けつ)」は常に体を巡りバランスを調整していますが、血の流れが滞ることで巡りが偏るとされています。
温かければ上へ昇り、冷たければ下へ降りる性質のため、上半身はのぼせ、下半身は冷えるという、いわゆる「冷えのぼせ」の状態になるのです。
桂枝茯苓丸は滞った血の巡りをよくすることで、足冷えを改善します。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
ストレスが原因で気の巡りが悪くなり、自律神経が失調して多様な症状とともに冷えのぼせを感じる女性に適しています。
自律神経を調整し、イライラやのぼせを鎮めて、血行も促進します。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
足腰が冷える方、生理不順がある方など一般的な女性の悩みにおすすめの漢方薬です。
血行を良くし貧血症状の改善、体を温める作用のある生薬、むくみを改善する生薬が含まれています。
代謝が悪く手足の末端の冷えに適しています。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
体を温め、熱を作るのに手助けすることで、手足などの末端を温めるとともに、体内にも働き、冷えによる体の痛みを改善する漢方薬です。